夏目漱石『こころ』──人を信じたいのに、うまくいかない心

こんにちは。江戸川区瑞江駅から徒歩2分の場所にある就労移行支援事業所のこぶし瑞江です。

『こころ』は、夏目漱石が書いた「人の心の奥」を見つめる小説です。
主人公の「私」は、“先生”と呼ばれる年上の男性に惹かれていきます。どこか寂しそうで、真面目で、でもどこか距離のある人。なぜ先生はいつも悲しげなのか、なぜ人を避けるように生きているのか。物語の後半で、その理由が明かされます。

先生は、かつて親友を裏切ってしまった過去を抱えています。恋と友情の間で迷い、結局、自分の気持ちを優先してしまった。その結果、大切な友を失ってしまうのです。その罪悪感を消すことができず、先生は「もう誰も信じられない」と心を閉ざして生きてきました。

『こころ』というタイトルには、人間の“ややこしさ”が詰まっています。人を好きになる気持ち、嫉妬、後悔、信じたいのに信じられない不安。先生の中にある矛盾は、誰の中にも少しはあるものです。きっと誰もが「人を信じたいのに怖い」と思ったことがあるのではないでしょうか。

漱石は、この作品で「人間は孤独な生き物だ」と言っています。でも同時に、「それでも誰かとつながりたい」という願いも描いています。先生が最後に“私”に手紙を残したのは、ほんの少しでも自分の心を理解してほしかったから。人は孤独の中でも、誰かに自分を知ってほしいと願うのです。

『こころ』は、特別な時代の話ではなく、今を生きる私たちにも響く物語です。うまく人と関われないとき、自分が誰かを傷つけてしまったとき、心の奥で思い出すような小説。人を信じることの難しさ、でも信じたいという切なさ。それが、この作品の“こころ”です。

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